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【理解してますか?】心電図の波形と間隔の意味

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心電図は何のためにあるのか?

そんなこと、考えたことありますか??

心電図は、その電気活動を記録することで心臓の状態を映し出しています。
心電図を判読することで、心電図で特徴的な電気活動を示す疾患や症状については判断することができ、緊急時すぐに対応できる、また今後予測される緊急事態を回避するために予防することができる。

看護師にとっては使えて得なことしかない武器になります。

心電図が読めるようになったら医師への報告もスムーズに行えますし、何より患者のためにできることが増えたことがモチベーションアップにつながると思います。

今回はおさらいをしながら、心電図波形について勉強していきましょう。

心臓の解剖

まず心電図に行く前に基本的な心臓の解剖をおさらいをしましょう。

心臓は4つの部屋に分かれています。
血液の流れ・心臓の弁とともに覚えましょう。
ここでのポイントは、心臓から出ていくのは動脈、心臓に戻ってくるのは静脈です。

看護学生さんは国試対策なりますのでしっかり覚えましょう。基本中の基本です。
肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れるっていう、紛らわしいやつです。

上大静脈・下大静脈が右心房に静脈血を運び、右心房から三尖弁を通り右心室へ。
右心室からは肺動脈弁を通って肺に静脈血が流れます。
肺で酸素と二酸化炭素を交換、動脈血になった血液は肺静脈から左心房に入り、僧帽弁を通って左心室へ。左心室から大動脈弁を通り全身へ血液が送られていきます。

このへんはおさらいなので、さらっといきます。
続いて刺激伝導系。

刺激伝導系

ここもおさらいなのでさらっと説明します。

刺激伝導系は上大静脈から右心房への流入部の後壁側にある洞結節から始まります。
洞結節は私たちの心臓のペースメーカーです。

洞結節から出た刺激は心房内にある結節間路を通り房室結節へ。
房室結節から、ヒス束→脚(右脚、左脚前枝・後枝)→プルキンエ繊維の順番で刺激が巡っていきます。

この刺激により心房・心室は収縮しています。
この流れを理解していると心電図の流れがわかりやすいと思います。

さて、次からいよいよ本題の心電図波形のお話です。

心電図の波形と間隔は何を表すの?

では、さっそく、心電図の波形に入っていきましょう。上記のP波、QRS波、T波の説明文だけ読むと、うーん分かりにくいと思ってしまう人もいると思います。

ここからは、ひとつずつゆっくり解説していきます。

心電図はP波から始まります。なぜP波から??
この理由は諸説あるようですが、Primary(最初)の頭文字説が有力です。

さて、大切なのはそれぞれが何を意味しているか、そして正常値を覚えなければ異常が分かりませんので、波形と正常値について覚えちゃいましょう。

波形の内容と正常値

P波:幅0.06-0.10秒・振幅0.25mV以下
心房の興奮を表しています。
幅は心房の興奮時間、振幅は心房内伝導時間を表しています。

PQ間隔:0.12-0.20秒
心房から心室への興奮伝導の時間を表しています。
P波の始まりからQ波の始まりまでのことです。
QRS波がQのないRから始まる場合は、PR間隔とも言います。

QRS波:幅0.06-0.10秒・振幅は誘導により異なる
心室の興奮を表しています。
幅は心室内伝導時間です。

QT時間:QTcの場合0.36-0.44秒
心室の脱分極から再分極するまでの時間を表しています。
Q波の始まりからT波の終点までのことです。
QT間隔は心拍数の影響を受けてしまうため補正を行い計算します。

RR間隔:0.6-1.2秒
心室の興奮から次の心室興奮までにかかる時間を表しています。
R波からR波までをRR間隔といいます。

T波
心室の興奮が冷める過程を表しています。

ST部分
心室における脱分極から再分極への移行帯を表しています。

U波
低K時などにT波のあとに出現します。

P波とは?

P波は心房の収縮するときの電気活動をみています。

洞房結節(ペースメーカー)の出す電気信号ではない点は覚えておいたほうが良いでしょう。P波を見ると、洞房結節がちゃんと電気信号を出しているのか(洞性頻脈とか洞性徐脈とかですよね)。

それ以外には、心房から異常な電気活動がリズムばらばらに発生していないか(心房細動)なども分かります。あとは、心房に負荷がかかっていないかなど、心房の筋肉の状態も分かります。

QRS波とは?

次にQRS波です。

QRS波は房室結節からヒス束→左脚、右脚と電気信号が流れている過程を示しています。
つまり、心室の内の電気の伝わり方に問題がある場合には、QRS波の異常が起こると覚えてください。ただ、ほかの波形と異なり、QRS波は様々な形が存在します。

上記で示すように、Q波、R波、S波がすべて独立して、いつも見えているわけではないということに注意しましょう。

QRS波の正常値は幅0.06-0.10秒・振幅は誘導により異なります。
QRS波が見やすいのはⅡ誘導になります。

幅が0.10秒以上の場合は、脚ブロックやWPW症候群、心室内変更伝導が考えられます。

振幅が大きい場合…これは誘導により異なりますが、Ⅱ誘導の場合で考えると2.0mV以上の場合です。
起電力が強い場合で左室肥大を考えます。
ただし左室肥大の場合はV5,V6誘導での観察がポイントになりますのでこちらも今後お話しします

振幅が小さい場合も注目しましょう。

四肢誘導で0.5mV以下、胸部誘導で1.0mV以下は低電位といいます。
心筋梗塞などの心筋障害で心臓の起電力が弱まっている場合や、心嚢水貯留時、また肥満の人など心臓の周りの水や脂肪に邪魔されるため振幅が小さくなります。

T波とは?

T波は心室の収縮をみています。
このため、心室の筋肉の状態に異常がみられた場合に、T波の異常が認められます(心筋梗塞など)。

T波の異常

T波の陰転
T波の向きがマイナスとなる。心筋梗塞、心肥大、心筋症など多彩な疾患で見られます。
これだけでは心電図で疾患を予想・判断することはできません。

T波の増高
T波の高さを基線からT波の頂点までで計測します。
先ほど記載したT波の正常値以上になったじょうたいですが、目安として、QRS波振幅の1/2以上であることがあげられます。
1/2以上のときにT波の振幅をカウントしてみてもいかもしれません。
完全左脚ブロック、左室肥大(容量負荷)、急性心筋梗塞の早期、異型狭心症の発作時、高カリウム血症などでみられます。

T波の平低化
目安としてQRS波振幅の1/20未満になります。
低カリウム血症や、心筋虚血の場合にもみられます。

PQ間隔とは?

今までP波、QRS波、T波とみてきましたが、次は間隔について勉強しましょう。
まず、代表的な間隔にPQ間隔があります。PQ間隔P波の始まりからQ波の始まりまで」です。

PQ間隔は何を示しているのでしょうか?

PQ間隔は心房の収縮→ヒス束以下に伝わるまでの間隔です。つまり、PQ間隔は房室結節の電気信号の伝わり方を見ています。たとえば、心房からの電気信号が房室結節で伝わりにくくなってしまい、脈が遅くなってしまった(一度房室ブロックなど)の時にはPQ間隔の異常が起こります。

ちなみに、房室結節は心房の電気信号を調整しながら、ヒス束に伝える役目をしています。もし早すぎる電気信号だった場合に、そのまま電気信号を伝えると凄い頻脈になってしまうので調整しています。

また、洞房結節→心房と伝わってくる電気信号が入らない場合には、自分で電気信号を出す役割もします(例えば、完全房室ブロック)。その場合は徐脈になります。

PQ間隔の異常

正常値はPQ時間:0.12-0.20秒
PQ時間の変化は、短縮と延長があります。

PQ時間の短縮は、洞結節からの刺激ではなくもっと下のほうから起きている場合に短縮します。
洞結節よりも房室結節に近いところの刺激であれば、時間も短くなります。
上室性期外収縮や異所性心房調律、房室接合部調律などがあげられます。

また心房と心室内に副伝導路を作り房室結節を経由せず早期に心室に興奮が伝わるWPW症候群でもPQ時間は短縮します。特徴的なデルタ波も形成します。

つづいてPQ時間の延長です。
多くの場合は房室結節の伝導遅延が原因で起こります。
その他薬剤の影響、心筋炎、虚血性心疾患に伴う低酸素などで起こります。

PQ時間の延長は房室結節の機能異常のため、房室ブロックと呼ばれます。

QRS間隔とは?

次に重要な間隔は、QRS間隔です。
QRS間隔はQ波の始まりから、S波の終わりまでの間隔のことを言います。

さきほど、QRS波はヒス束から左脚、右脚へ電気の流れる過程をみていることを説明しました。
このQRS間隔は、このヒス束から左脚、右脚までの過程に異常がないか見ています。上の図を見ながら考えてほしいのですが、心室中隔に異常がみられた場合に、例えば左脚の通る位置だったりすると、電気の伝わり方が障害を受けるため、QRS間隔の異常が起こったりします(左脚ブロック)。

QT間隔とは?

最後に勉強するのは、QT間隔です。
QT間Q波の始まりからT波の終わりまでのことを言います。

QT間隔を分解すると、QRS間隔T波の間隔ですよね。

QRS間隔は心室中隔を伝わる電気信号をみていて、T波(の間隔)は心室の収縮の信号をみていることを思い出してください。このため、QT間隔というと、心室の電気信号の伝わる過程を示していると覚えてください。

QT間隔の異常

QT時間は心室の脱分極から再分極するまでの時間です。
結局どういうことかというと、電気的な収縮時間、活動電位の持続時間のことです。

QT延長=活動電位時間が長くなることで、膜電位が不安定になり心室頻拍など危険な不整脈が出現することがあるからです。
またQT短縮も電解質のバランスが崩れ心室細動、心室頻拍へ移行しやすくなります。
そのため12誘導心電図で確認する必要があります。

QT延長は先天性、後天性がありますが、後天性のほうが多くみられます。
薬剤性では抗不整脈薬、向精神薬など。
除脈では完全房室ブロック、洞不全症候群など。
電解質異常では低カリウム血症、低マグネシウム血症、低カルシウム血症などがあげられます。

病棟でよく見るのは、低カリウム血症ではないでしょうか?
特に循環器の患者では利尿剤の使用によりカリウムの値が下がることがあるので、フロセミド内服中などの患者は採血結果をよく確認します。

QT短縮高カルシウム血症、頻拍時、ジギタリス内服などで見られます。

QT6

心電図の波形と間隔 まとめ

画像12

今回は波形と間隔についてやってきました。
細かいことを突き詰めれば、他にももっと説明することはありますが、基本の心電図を学ぶには、最低限これだけ覚えれば良いかなと思います。

この記事で心電図に少しでも興味をもっていただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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30歳過ぎて看護師を志した社会人ナースマン。
1000床規模の基幹病院内ICUで働き始め、看護学校の教員を経て現役復帰。看護学生の実習指導も務める。
社会人時代と比べて「ここが変だよ看護師さん」ってことが多々あり、そんな日常をこのブログで綴ってみたいと思います。
歳も歳なのでFIRE目指して、お金のことも色々勉強中。3児のパパ。

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