新人のみなさん、おつかれさまです。
新人は覚える仕事は多いし、プリセプターや先輩看護師からアレコレ言われ、勉強もしないといけない…
新人看護師時代は大変な日々ですよね。
僕も新人指導をするうえで毎年悩みを抱えています。
どうすれば、新人~2年目の看護師が肉体的にも精神的な負担がなく仕事に慣れていくか。
これはもう、看護業界永遠の課題のような気がします。
今、僕の所属しているユニットでは何年も前から新人指導は優しく丁寧に行うこと方向にシフトチェンジしました。自分が新人のころは威圧的な先輩も多かったし、優しく新人指導してくれるなんてありえなかったので、時代が変わったなぁと感じています。
ただ、そのやり方が功を奏したのか、新人時代に休職したり退職する新人はいなくなりました。
そんな忙しい中で新人さんは忙しい業務をこなしながら、勉強もしないといけませんよね。
どうしても看護師は日々自己研鑽していかないといけない職業です。
・日々の業務や看護処置を覚えるのに必死
・毎日残業で心身ともに疲れ果てている
・勉強が並行して進まない
などなど、大変な日々を過ごしているのではないでしょうか?
確かに、看護処置や業務を覚えることも大切だと思います。
でも、「根拠のある看護」=「質の高い看護」を行うためには、ある程度の知識を持つ事が必要です。
新人時代にこの知識を得なければ、きっと何となく看護を行う人生になってしまう可能性があります。
この記事では新人~2年目看護師に向けた、患者さんを看るうえでココだけは押さえておいて欲しいことや勉強方法などを紹介していきます。
新人時代はつらい日々ですが、看護師人生において一度しかない時です。
新人看護師の皆さん、お互い頑張りましょう。
新人看護師に有効な勉強法
①呼吸、循環、脳を理解する
➁受け持ち患者から学ぶ
新人看護師に有効な勉強はこれを押さえておけば、大丈夫かと思います。
一般病棟だと残業時間も多く、なかなか勉強時間を確保するなんて難しいですよね…。
しかも、身体的な疲労も大きい。ともてじゃないけど、仕事終わったあとに勉強なんて無理…。
なんて人は多いと思います。
まずは、要点を絞って重点的に勉強していきましょう。
呼吸・循環・脳の解剖生理
忙しい中でも、仕事をする上で新人看護師がまず学ぶことは以下の3点です。
・呼吸に関する解剖生理
・循環に関する解剖生理
・脳に関する解剖生理
この3点を学ぶ事が大切だと思います。
これはどんな病棟に配属されても変わりません。
では、なぜこの3点が大切なのかと言うと、臨床で患者に異変が起こる多くがこの3点だからです。
・呼吸→呼吸回数の変化、SpO2の低下、呼吸パターンなど
・循環→心拍数の変化、血圧の変動、モニターの波形、不整脈の有無、四肢冷感など
・脳→意識レベルの変化、瞳孔所見の変化など
まずは、新人看護師として、なぜこのような変化が起こるかの機序を学ぶ事が大切です。
もちろん看護学校でも学んでいると思いますので、そこへさらに知識のアップデートをしていく必要があります。教科書で書いていたものを臨床で見たものと照らし合わせて知識を増やしましょう。
看護学校で学んだことは国試のためだけの知識ではありません。今一度授業でやったことを思い出してくださいね。
では、呼吸、循環、脳でおさえるポイントを紹介していきます。
呼吸の観察
・呼吸の仕組や呼吸筋(補助呼吸筋)
・肺区域
・酸素解離曲線
・低酸素血症の要因
この辺は押さえておく必要があると思います。
最後の、「低酸素血症の要因」は解剖生理だけでなく、疾患についても理解を深めないといけないかもしれませんが、特に大切な項目だと思います。
なぜなら、低酸素血症の原因の違いで看護が変わるからです。
臨床でSpO2が低下した時に、
・補助換気が必要なのか?
・ポジショニング が必要なのか?
・吸引が必要なのか?
・体位ドレナージが必要なのか?
この看護を根拠をもって行うためにも、理解しておく必要があります。
例えば、こんな場面がありました。
SpO2が90%前半しかなくて、吸引しても酸素投与しても上がりません
その患者さん、既往にCOPDあるからね
看護師あるあるなんですが、Sp02が96~100%ないと不安になる人多いです。
既往によっては、Sp02が90~95%でも呼吸困難感もなく普通にしている方も多くいます。
特に長年タバコを吸ってきた人やCOPDを患っている人はSp02は低いです。
まずはSp02が低い原因を探すこと、患者が苦しそうなのかどうか観察し、アセスメントしましょう。
循環動態
・血圧の決定因子
・ショックの5兆候
・ショックの4分類
・酸素運搬量に関する事
循環動態を知ることは全ての患者を看護するうえで最も必要になります。
みなさんもバイタル測定で血圧や脈拍を測定しますよね。
なぜ、バイタルごとに観察しなければいけないのか、それは血液の循環は人にとって最も大切であり、ここが破綻すると命に関わることになるからです。
この項目で知ってもらいたいのが「血圧の決定因子を理解する」ことです。
これを理解することで、ショックの4分類を理解する事ができます。
ショックの患者に対して医師から、どのような指示が出るのかをおおよそ把握する事ができます。
ショックバイタルの患者は命に瀕してる状態であり、迅速な対応が求められます。
予測していない事や、把握していない事が起きても、慌てず焦らず医師の指示を的確に実施できるように準備しておきましょう。
脳
・各領域の役割や働き
・脳血管の走行や支配領域
・意識レベルの評価方法
これは脳外科病棟じゃなければ、なかなか取っつきにくい分野ではあります。
僕も苦手な分野ではあります。
呼吸と循環はモニタリングで視覚的に異変がわかるけど、脳はCTやMRIを撮らないとわからないです。
脳は勉強してもなんかわかりにくいですよね。
それでも、看護師として異変に気付けるポイントはありますので紹介していきます。
新人看護師として知ってもらいたいことは、、特に意識レベルの評価方法です。
入院患者は高齢者の方が多く、臨床で問題となるのは、せん妄や認知症患者の看護になってくるのではないでしょうか。
元々、認知症のある患者の場合、見当識障害なのかどうなのか評価が難しいところではあります。
神経学的所見を観察することで脳領域の異常の早期発見に繋がります。
患者が普段と違っておかしいと感じたら、瞳孔所見や反応、運動障害や感覚障害がないかを観察しましょう。
脳梗塞や脳出血など、脳血管疾患は時間との闘いでもあります。出血量にもよりますが時間とともに出血により脳が圧迫され、徐々に脳へのダメージが大きくなっていきます。
脳梗塞であれば、発症からの発見が早ければ「t‐PA」を投与することで血栓を溶解することで治療が行えます。
脳血管疾患は、せん妄や認知症との違いに気付けるかが課題になってきます。
患者から学ぶ
仕事が終わって家に帰ってから、または休みに時間を作って勉強するだけが全てではありません。
実は臨床には、学ぶ機会が多く有ります。
例えば、日々の受け持ち患者の看護をしていると、
・「医師からこんな指示が出た…」 なぜ??
・「先輩がこんな看護を行なっていた…」 どうして???
こんな様々な疑問点を感じたことありませんか???
例えばこんな場面…
医師から心不全の患者さんにラシックス投与の指示があったんですけど…
医師からの指示や先輩が行った看護には、絶対に「根拠」が有ります。
この疑問点を一つずつ紐解いていく事で、自己の知識を深めていく事ができます。
そこから得た知識を、さらに臨床の患者に紐づけていくことで、いつの間にか、学びのサイクルが出来上がってます。
この学びのサイクルをどんどん回すことで、自己の知識が少しづつ積み重なっていきます。
所属部署の疾患
最後におまけとして、所属部署の疾患も合わせて学ぶ必要がありますね。
やっぱり各部署において特殊性ってありますよね。
・呼吸器疾患→喘息、COPD、肺炎等
・循環器病棟→心筋梗塞、心不全等
・脳外科病棟→脳血管疾患等
・外科→術前術後の看護等
当然ですが、疾患だけでなくその病態に合わせた看護も学ぶ事が大切です。
膨大な量になると思われますが、最初にお伝えした、臨床患者との紐付けで継続して学んでいけば、
いつの間にか、所属部署の疾患は学び終えているともいますよ。
〇〇の疾患のときはココを観察する、□□の疾患ならココ観察する。といった感じで、いつのまにか身についているはずです。
ただ、淡々と業務をこなすのではなく、日々の継続した学びが大切になるのです。
学びを言語化
患者や自己の学びで様々ない知識を得たら、「言語化していく事がとても大切」になります。
日々の看護記録のSOAPにおける「A :アセスメント」で言語化する事が最も良いと思います。
普段から記録が大変だからと「著変なし」とか、簡単に一行で終わらせてませんか??
カルテは医師もほかの看護師もコメディカルなど、いろんな職種の人が見ます。
誰に見られてもおかしくない内容で自分の考えをしっかり書き記すことによって、ちゃんと観察してアセスメントできていると評価されます。これはとても大事なことです。
自分の言葉でしっかり言語化することで自分自身の知識も整理をする事ができます。
忙しい臨床ですが、日々の小さな積み重ねが、看護師として成長へとつながります。
まとめ
新人看護師の皆さんは、身体的にも精神的にも大変な時期にあると思います。
その中で、勉強時間を作って勉強するのは非常に大変です。
まずは、臨床の患者さんに行われている医療や看護について、「なぜ?」と気づき、調べることから始める事が大切です。
自分が疑問に思って調べたことはいつまで記憶に残るからです。
そして、得た知識と臨床の患者を紐づけていく事が大切です。
その積み重ねが、「点と点であった知識がいつか線で繋る」と思います。
そうなると、さらに自分自身の知識は深まっていきます。
まずは、目の前の患者から多くの事を学んでいきましょう。
お互い頑張りましょう。