看護師も中堅になってくると、いろんな臨床疑問を投げかけられることも多くなります。
その中でも、「心電図が苦手で〜、読めません。」と、心電図に苦手意識を持つスタッフも多いですね。というのも、僕自身も苦手意識あったので、すごく共感!です。
ここでは、経験を踏まえての“ちょっとしたコツ”をお伝えしていきます。
心電図ってなに?
判読する前に、心電図ってなんぞや?というのを知っておく必要があります。
心電図の位置付け
まずは、①心電図の位置付けから学んでいきましょう。

心電図の位置付けを理解するために、生命の維持サイクルから考えるとわかりやすいので、図を用意しました。
生命の維持サイクルとは、生体のメカニズムとも言われ、生命を維持するためにこのサイクルが保たれています。
Airway(気道)から酸素を取り込み、Breathing(呼吸)することで、肺でガス交換され、Circulation(循環)することで取り込まれた酸素が各臓器(脳や腎臓、肝臓など)へ運ばれる。
そして、Dysfunction of CNS(中枢神経)で、運ばれてきた酸素をベースに呼吸の調整の命令をする。さらに、Environmental Control(体温管理)生きていくのに適切な温度<37度>(恒常性を維持)を保ち生命を維持しています。
外傷初期看護に必要不可欠な知識でもあり、全ての看護師が持っておくべき知識・スキルでもあります。そして、生命維持サイクルを「ABCDEアプローチ」とも言います。
このうち、心電図は「C(循環)」を評価するための1つの手段になります。主に、不整脈診断への手掛かりにもなります。
心電図ってなに
次に、②心電図ってなに?というところですね。


要は、心臓の動きを形として表したもの、なのです!縦軸は、電気信号の強さや向き、横軸は時間を表してます。
どんな時に心電図をとるのか
そして、③どんな時に心電図をとるのか、という目的がないと評価もできません。体調が悪いからといって、心電図検査の項目は全てにはありませんよね。

心電図検査を行うことで、評価ができます。
そして、自職場に近づけて考えると、僕は救命センターに所属しているので、容態が危険な状態である方が多くいます。
重症患者が多くいるために、救命センターでの管理目的としては、呼吸・循環動体のモニタリングや治療の整合性の有無とともに、早期発見するに心電図を意味解釈していくことがあがります。

刺激伝導系と心電図の仕組み
判読する前に、どのように心電図を見れば良いのか、考えれば良いのか、がとても重要となります。
結論から、「どこから見ているのか」がとても重要になります。
刺激電動路
はじめに、①刺激電動路についてです

洞結節(SN:サイナスノード)が、心拍リズムのペースメーカーであり、僕の解釈の中では、“親“となります。参考書によっては、“先生“であったり、“師長“であったりしますが、指示命令系のtopの人ですね。自身の立ち位置によってわかりやすい人を立てておくと良いです。ここでは、“親”を推奨していきます。
流れとしては、洞結節→房室結節→His束→右脚・左脚→プルキンエ線維の順に伝わり、心臓が収縮・拡張を繰り返して全身に血液や酸素を送って、回収しています。
解剖はとてもベースとなるので、outputしながら勉強を進めていくこと、をオススメします。そうしないと、ずっと解剖の勉強ばかりで進みません。
どこから見ているか
結論で、②どこから見ているか、が重要ポイントと話しました。それは、なぜか…

僕たち、医療従事者は主に「II誘導」を見てモニタリングや判読をしています。もちろん、臨床推論で疑った病態があれば、情報を増やしてⅠ誘導やⅢ誘導、範囲を拡げて12誘導心電図の検査をして判読していきます。
ここでは、3点誘導に絞って説明しましす。
なぜ、II誘導で見るのか
③なぜ、II誘導で見るのか。当たり前のように、モニタリングする誘導がII誘導に設定されているから、先輩たちもII誘導で見ているから…ではなく、ちゃんと理由があります。

このように、Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ誘導それぞれで見ている場所が違います。
写真の図にもあるように、II誘導は「心臓全体」を見ることができます。そして、洞結節からの刺激伝導を綺麗に観察できるのです。
なんでもそうなんですが、inputするときにはイメージしながら行うと、inputの質がググンっとあがります!
心電図の仕組み
そして、最後に④心電図の仕組み、についてです。

心電図を見ると、その“基線“となる真ん中の線があるんですが、そこから上向きになっているのか、下向きになっているのかが重要ポイントです。
見ているところから、上向きとなっている時間は、見ているところに近づいてきている、と言うことを表します。そして、下向きになっている時間は、見ているところから遠ざかっている、と言うことを表しています。

要は、上向きは近づいている、下向きは遠ざかっている、ということとなります。そして、見ているところによって近づき方、遠ざかり方が違うため、Ⅰ誘導、Ⅱ誘導、Ⅲ誘導でも正常な波形が違うこともわかります。


洞結節は心房にあります。そして、刺激を出して近づく波形としてのP波があります。要は、洞結節は、P波であり、P波は心房の興奮を表しています。
次に、房室結節に伝わり、His束→右・左脚→プルキンエ線維へと伝わり、心室から全身に血液を送ってます。要は、QRS波は心室を表しています。そして、心室は全身に血液を送らないといけないので、筋肉が発達しています。そのため、QRS波は刺激が強く、大きな波形を表しています。
イメージできましたでしょうか?
心臓の刺激伝導は、心房から心室に伝わることで、全身に血液を送って、また血液を回収しています。
ここで、Pointとなることは、心房(P波)から心室(QRS波)に伝わっているのか、です。心房から心室に一定のリズムで伝わっていたら、洞調律(洞結節がペースメーカーとなって心室に刺激が伝わっているよ)ということとなります。
医療従事者だと、基本的なところであったりすると思いますが、心電図を学ばれる際にとても基本となるのでOJTや多職種とのコミュニケーションツールの一つとして活用ください。