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【看護師豆知識】血液ガスで呼吸状態を評価する方法

看護師豆知識
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前回の記事では血液ガスの見方について紹介しました。

今回は血液ガス分析の結果から患者の呼吸状態を評価する方法を紹介したいと思います。

まず、呼吸ケアの基本中の基本である、呼吸とガス交換のメカニズムをおさらいしましょう。

呼吸がどのようなもので、それによって体の中でどのようなことが起こっているのかを、ここでしっかり理解しておけば、血液ガスデータの意味や病態生理を正しく把握することができます。

参照記事☞【看護師豆知識】ICU看護師が教える血液ガスの読み方

血液ガス分析結果が示すもの

呼吸状態が正常であれば、動脈血は十分に酸素を含んでいなければなりません。

つまり、動脈血中に含まれる酸素や二酸化炭素などの成分を分析すれば、呼吸の状態を判断することができるというわけです。それが血液ガス分析です。

患者本人に呼吸困難感がなかったり、SpO2の低下がなかったとしても血液ガスを測定してみるとPaO2が正常値を下回っていて、慌てて酸素投与するということが多々あります。また、気管挿管を検討する目安にもなります。

PaO2とSaO2からは「酸素化」が、PaCO2からは「換気」、HCO3からは「代謝(腎機能)」、pHからは「酸塩基平衡」がわかります。

この記事では、主に呼吸の状態を示すPaO2、PaCO2、SaO2について紹介します。

PaO2:動脈血酸素分圧

酸素化の能力を表しています。

この値が高いほど、血液中に酸素が行き渡っていることになります。

PaO2は、高齢になるに従って低下していくため、年齢によってその正常値は異なります。
「105-0.3×年齢」がその平均値で、正常値の目安となります。

PaCO2:動脈血二酸化炭素分圧

肺の換気能力および二酸化炭素を排出する能力がわかります。

この値が高いと二酸化炭素が溜まっていることになり、二酸化炭素が十分に排出されない低換気の状態を示します。逆に、値が低いときは、換気をし過ぎている過換気の状態となります。

SaO2:動脈血酸素飽和度

血液中のヘモグロビンがどの程度酸素と結合しているかを示しています。

酸素の多くは、ヘモグロビンと結合して全身に運搬されるので、PaO2と同じく重要な酸素化の指標です。

血液ガスから見る呼吸不全

血液ガスの測定結果から何をどのように見ていくか、呼吸不全を例に考えてみます。

ルームエアー(酸素濃度21%)を吸入したとき、PaO2が60㎜Hg以下で呼吸不全と診断します。

呼吸不全には、Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全という2つの種類があります。

Ⅰ型は低酸素血症のみの病態です。
PaO2 60㎜Hg以下で、PaCO2 45㎜Hgを超えない(正常値)もの。
PaO2<60㎜Hg かつ PaCO2< 45㎜Hg

Ⅱ型は低酸素血症に高二酸化炭素血症が伴っている病態です。
PaO2 60㎜Hg以下、PaCO2が45㎜Hg以上です。
PaO2<60㎜Hg かつ PaCO2> 45㎜Hg

酸素が不足しているのと同時に、二酸化炭素がうまく排出されない、つまり換気能力が低下しているということです。

肺炎などによる急性呼吸不全はⅠ型が多く、慢性呼吸不全やその急性増悪、神経筋疾患の呼吸不全はⅡ型がほとんどです。

SaO2とSpO2の違い

先ほど書いた呼吸不全は主にPaO2の値で診断されますが、もう一つ酸素化の指標として大切な値にSaO2があります。

SaO2は前述したように、血液中のヘモグロビンと酸素の結合率で、PaO2によって規定されます。

そのため、PaO2とSaO2には一定の関係があり、それは酸素解離曲線で表されます。

しかし、PaO2の測定には動脈血を採血する必要があり、検査が容易に行えない上に、患者にも苦痛を与えることになります。そのため、臨床で酸素化の状態を調べるには、パルスオキシメーターで測定した酸素飽和度がよく使われます。

パルスオキシメーターは、センサーを皮膚にあてて測定するので、経皮的動脈血酸素飽和度といわれます。SpO2はSaO2とほぼ同じ値を示すので、SpO2の値を用いて酸素解離曲線からPaO2の値を推測することができます。そのため、日常的な酸素化はSpO2からチェックしています。

ただし、SaO2は酸素と結合したヘモグロビンと、運んでいた酸素を放出したヘモグロビンのほかに、酸素を運ぶことのできないメトヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビンも測定して、酸素飽和度が算出されます。しかし、SpO2では酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンしか測定されません。

また、SpO2は、パルスオキシメーターの装着状態や患者の体動などで測定値が変化してしまいますので注意が必要です。

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30歳過ぎて看護師を志した社会人ナースマン。
1000床規模の基幹病院内ICUで働き始め、看護学校の教員を経て現役復帰。看護学生の実習指導も務める。
社会人時代と比べて「ここが変だよ看護師さん」ってことが多々あり、そんな日常をこのブログで綴ってみたいと思います。
歳も歳なのでFIRE目指して、お金のことも色々勉強中。3児のパパ。

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