
基礎看護実習が終わって、少しは実習にも慣れてきたかな~
次の実習からは成人看護学?? どんな患者さんがいるの??

学校の演習で教わった看護ケアを実践するときが来たのね
どんなケアを行ったらいいのかな??
前回は「基礎看護学実習」について紹介させていただきました。
今回はさらにステップアップしまして、成人看護学実習編をお届けしたます。
成人看護になると患者さんの年齢層が幅広く、急性期・慢性期・周手術期など状態も様々になってきます。当然、学ばないといけないことも増えてきますので、実習自体も大変になってきます。
ただ、「成人看護」は看護学生の実習の中心部分だと言える大事な領域なので、しっかり学んでいきましょう。
ちなみに、自分も学生時代に成人看護にはかなり苦労させられました。参考書を開いては訳が分からない…、なんでそうなる…と悩む毎日でした。
そんな思考停止してる学生の睡眠時間を1分でも増やすために今回も乗りきり方を紹介します。
もくじ
成人看護って何?
まずはここから。成人看護とはなんぞや???
成人看護学は対象年齢が15歳~64歳までと幅広いのが特徴です。
言ってしまえば、小児と老年以外の全部!
この期間は人が身体的・精神的・社会的に成長していくための大切な期間です。
疾患そのものの治療も大切ですが、社会への復帰を目標とした看護が必要になってきます。
人生で最も長く、変化していく成人期を学ぶことは看護師になる上でとっても大切です。
実習では3側面に沿って、患者自身の疾患や身体的・精神的側面だけではなく、家庭や仕事に関する社会的役割、普段の生活習慣も視野に入れた関わりや、看護過程の展開が求められます。
これが一番難しい…。
自分は「ヘンダーソンの14項目」を使った看護過程だったので、毎回14個の項目を情報収集しアセスメントし問題を炙り出し…ってのをやってました(ある意味、ココが実習の山場ですね)
盛りだくさんな成人看護学実習を乗り切るために、自分の体験や工夫、心構えなんかを紹介します。
急性期の看護
実習開始までに取り組むこと
周術期看護について勉強しておく
急性期の実習ではオペの前後の患者さんを受け持つことになります。
オペ前日の患者さんの不安や思いなど、精神的な問題点を取り上げやすいです。
オペ当日は忙しいです。だいたいオペは朝一で出棟するので看護師もバタバタしています。
邪魔にならない場所から、準備の様子など見学すると良いでしょう。
また、オペ後は状態の変化が目まぐるしく早いです。
どんな症状が出やすいか、どんな合併症が起きやすいのか、事前に知識として知っておくことで次にどうしたらいいのか予測することが大切になってきます。
オペの術式は何か、どこをどのように治療してきたのか、どこを観察しなければならないのか。
しっかりと事前学習しておきましょう。
心電図モニター・ドレーンや尿量について正常な状態を学んでおく
急性期では心電図モニターやドレナージを行う患者さんが多いです。
当日何が何なのか分からない…とならないように、まずは正常な状態について知っておきましょう。
周術期の患者状態を把握し、術後バイタルはどうなるのか、ドレーンや尿量はどうなるのか?
それが正常か異常なのか。その違いがわかるだけでも、看護師さんへ早く報告・相談が出来ます。
「熱がありました!」「ドレーンの量が多かったです!」では有用な報告にはなりません。
術後2~3日は手術の侵襲により発熱します。これは正常な生理反応です。
それならば、「発熱がありますが術後2日目なので経過を見ます。ただ熱が辛そうなのでクーリングを行い患者さんの苦痛を緩和したいです」っていう報告、相談をすると評価が上がると思います。
ただ、熱を下げるためにクーリングは効果がないとエビデンスが出ているので注意が必要です。
実習での体験談
自分の場合、急性期では消化器系のオペ前後の患者さんを受け持たせていただきました。
オペに対して不安を強く感じている様子が伺えたので、傾聴姿勢でコミュニケーションを取り、不安の表出を図り、必要に応じて看護師さんに報告をしました。
腹腔鏡下でのオペだったので翌日から早期離床のためリハビリで歩行練習を行っており、それを見学するといった実習内容でした。
急性期の場合は特に学生が出来るケアはあまり無かった記憶があります。
話を傾聴して、バイタルとって、リハビリ見学くらいです(笑)
術前にシャワー浴びてるし、ドレーン抜去したらシャワー浴びれるので、張り切って洗髪だの足浴だのといった看護計画は立てない方が良いかなと。
ただ、術後はバイタルが崩れやすいため、注意深い全身観察が必要になってきます。
実習を通しての学び
急性期看護は患者さんの状態が身体的にも精神的にも変化が大きく、とにかく展開が早く感じます。
下手したら術後の数日後の患者さんを受け持って、実習中に退院なんてこともありました。
患者さんの容態の変化に対し、その時々に的確な対応が求められます。
教科書に書いてある内容は基本であり、患者さんが100人いれば100通りの個別性が追加されることになります。その個別性を見極めるためには綿密な情報取集が必要になってくるのです。
情報は電子カルテなどのデータからだけではなく、患者さんの近くにいって収集したり、時には面会に来た家族から収集することも大切だと学びました。
急性期は展開が早く、患者さんが日に日に元気になっていく様子を見る事ができます。
患者さんが笑顔で退院していく姿を見るのは看護師として一番やりがいを感じる瞬間でもありますよ。
急性期実習でのアドバイス
休み明けの情報収集
実習は毎日行うものではありません。学生にも休みがあります。
急性期の患者さんは状態が日々変化していきます。2~3日実習がない間に、大きく変化が起こっているかも知れません。状態が悪化したり、逆に上に書いたようにすでに退院してしまったなんてこともあります。
患者さんのところに行き、様子を伺い、その後はカルテで情報収集しましょう。
自分に出来ることをやる
術後の合併症と帰宅後に日常生活で今後注意することなどを絵を交えたわかりやすいパンフレットにして受け持ち患者さんに渡すのは有効な手段です。
パンフレット作りは内容にもよりますが教員や指導者からのポイントが高いです(笑)
真剣に取り組んでます感が伝わりやすい(笑)
看護師や医師はそこまで詳しく説明したりはしないので、患者さんからは喜ばれます。
自分の受け持ち患者さんも泣きながら喜んでくれ、退院したらもう病院には戻ってこないように体調には十分気を付けるって言ってくれました。
急性期ではケアらしいケアが思うように行えないないため、いかにアピールするかがポイントです。
・急性期は行えるケアが少ないため、パンフレットなどでアピールする
・術後は患者さんを気遣い、頻繁な訪室は控える(用が無いならバイタル程度で良い)
慢性期の看護
実習開始までに取り組むこと
現病歴と既往歴の関連性を調べる
慢性期の患者さんは身体の状態としては落ち着ている人が多いです。おそらく受け持つことになるのは、経過が長い高齢者がほとんどだと思います。
そうなると高血圧、高脂血症、糖尿病はデフォルトで持っていると覚悟した方がいいです。
あとは脳血管疾患の後遺症で片麻痺とか、弁膜症で心不全とか抱えてます。
実習当日までに現病歴と既往歴の情報が手に入った場合はそれぞれの疾患がどのような影響を与えるのか調べます。
慢性期の患者さんは2つ以上の疾患を持つ方が多く、その病態関連図はとても複雑です。
事前に情報として与えられた既往歴についてはしっかり調べましょう。
高血圧や糖尿病、脂質異常症、脳血管疾患の病気については特に重点的に調べておくようにして、問題点の抽出をするときには、関係性を説明できるようにしておくとポイントアップです。
看護ケアの手順把握
慢性期の実習では急性期とは打って変わって、看護ケアを行う時間がとても多いです。
実習中、毎日なんらかの看護ケアを行うことになります。
なので足浴・手浴・全身清拭、陰部洗浄に加えて、洗髪や看護師でもできるリハビリといった援助は間違いなく行います。
一日でまとめて出来ることは限られているため、日替わりで清潔ケアを行っていきましょう。
この実習ではケアの手順書を読み返したり、新たに作成したりすることになるでしょう。
実際に実習が始まると、やっぱりほかの領域と比べると、ケアや援助をする時間が多く感じました。
事前にケアの手順や必要物品についてまとめておくと、余裕が持てますよ。
実習での体験談
慢性期では脳梗塞で片麻痺の患者さんを受け持ちました。
毎日の清潔援助、食事の介助、車椅子への移乗介助、リハビリ見学、リハビリ前に手浴・足浴などを行っていました。運動性失語もあったので情報収集に苦労したのを覚えています。
家族が熱心に面会に来られていて「いつもありがとうございます!」って、とても感謝された思い出があります。家族との信頼関係を気付くことで、家族から情報収集するといったことも出来ました。
1人の患者さんと長く関われれるのは慢性期のいい所ですが、看護ケアに対する変化が見られないため毎日のSOAPを書くのに苦労します(笑)
ポイントアップを狙うなら、日々のSOAPの中で「麻痺側の手浴、足浴を行ったあとにリハビリしたら可動域が少しずつ拡大した」なんて書くことで、慢性期のなかでも看護の力で患者さんが変わることができるってことをアピールすることができます。
あと、「パンフレットを渡して説明したら、次の日からパンフレットを毎日読んでくれた」とかね。
そういう日々の変化をSOAPの中に書くと、ポイントアップ間違いなしです。
実習を通しての学び
慢性期では状態が安定している方が多いため、急な処置や治療は必要ない分、患者さんとの時間に余裕が持てます。コミュニケーションを深くとれ、深い信頼関係を結ぶことが出来ます。
しっかり情報収集が行えるため、より個別性のある看護に繋げられます。
また、慢性期では疾患の完治を目的とするものではない事が多く、日々の生活で変化がわかりづらいです(むしろ、ほとんど変化がない…)
患者さんはこれからの人生で病気と寄り添って生きていくことになります。
ですから、退院後の生活もイメージしながら、今後の入院生活でどうなったら退院に結び付けられるのかを考えていく必要があります。
慢性期でのアドバイス
迷ったときのパンフレットの作成
急性期でも書きましたがパンフレットは実習ではかなり有効なポイント稼ぎになります。
慢性期では、退院後も病気と共に生きていく必要のある患者さんが多いです。
退院後の生活が少しでもイメージ出来るように、パンフレットを作成する学生が多くいました。
例えば、糖尿病の患者さんには病気が進行すると足が壊死するリスクがあるため、日頃からセルフフットケアを心掛けて下さいといったパンフレットや、COPDの人には口すぼめ呼吸の行いかたや在宅酸素療法を行っている時の注意点など。
他にも慢性腎臓病のある人にはカリウムの高い食材に気をつけないといけないことを説明した内容のパンフレットを作っていました。
実習が始まって、患者さんの情報が集まってきたら、まずはパンフレットの作成案を考えましょう。
パンフレット作成時は必ず担当教員と実習担当の看護師さんに内容を確認してもらい、許可を得てから患者さんに渡すようにします。
常に相手を敬い、傾聴する
患者さんは圧倒的に学生よりも目上の方々が多いです。
そもそも、実習指導者があてがうのは状態が安定していて人当たりの良い大人の人だけです。
学生の立場にある自分達が上から目線での会話や、ケアを強制するような言動をとっては、信頼関係が築けません。
目の前にいる患者さんは実際に病気と共に生きているのです。
教科書と授業で学んだだけの私たちよりも確実に病気の事を知っています。
なので、こちらから強制したり、疾患について教えるよりも、病気の事、疾患を抱えた生活の事を教えてもらうようなコミュニケーションをとりましょう。
・何するか迷ったら、とりあえずパンフレット
・患者さんを敬う姿勢を忘れない
まとめ
①教員、実習指導者には絶対に気に入ってもらう
②迷ったときはパンフレット
③手浴・足浴は当たり前。ただ、それを行う根拠はしっかり持つ
④日々の記録は内容と根拠が伴っているのが大切
⑤記録はびっしり書く必要なし。文字数の多い記録は読む方も疲れるのでほどほどに
⑥よく笑い、よく食べて、よく寝る
成人看護学実習は範囲が広いし、既往に色々抱えてる患者さんが多いです。
でも乗り越えたあとはきっと看護者として大きく成長出来るはずです!
成人看護は常に看護師の中心になります。
実習中はツライことが多いですがこのブログを参考程度に呼んで頂いて、実習にこれから行く学生はもちろん、実習中や実習後の学んだ事レポートを書く時に気晴らしにしていただけたら幸いです。
頑張って乗りきって下さい♪