看護学生の実習の中で山場ともいえるのがアセスメントですよね。情報収集で得た情報をいかにアセスメントして、看護過程の展開に繋げるという流れになります。
つまり、アセスメントが上手くいかないとその先の患者目標や看護過程、介入するケアがブレブレになってしまいます。逆に言えば、アセスメントする過程さえ乗り換えれば、目標がはっきりするのであとが楽になります。

とにかくアセスメントが苦手…💦
どうやったら上手く書けるのか知りたい。
看護学校教員時代から、学生さんはアセスメントが苦手をいうのをよく耳にします。
看護師を続けていると、よく似た症例の患者を受け持つことも多く、経験で症状から今後の成り行きや治療方針が見えてきます。
なので、経験がない学生さんにとっては、教科書や参考書のみの知識だけになります。
実習のアセスメントでは、教科書通りや文献に基づいた根拠が大事なのはもちろんですが、それ以上に自分の目や耳で得た患者の生の情報が必要になります。
いかに個別性を盛り込んだアセスメントが出来る否かが実習攻略のカギになります。
この記事を読んでもらって少しでもアセスメントが得意になってくれれば幸いです。
もくじ
アセスメントとは
アセスメントとは「客観的な分析」という意味で、看護過程の1つのプロセスです。
患者の身体的、心理的、社会的状態について情報収集して課題を分析し、必要なケア内容を明確化する目的でおこないます。
アセスメントを行うにはこの3つ側面の情報が必要になります。患者を様々な面から見て全体像を把握することが重要なポイントになります。
アセスメントのやり方を簡単にで説明すると、
S情報(患者の発言や言葉のみ)を収集する
O情報(観察や検査から得られた事実)を収集する
それらを整理し、さまざまな文献を使用して根拠を調べながら分析する
という感じになります。
このことを頭でイメージしながら、実際にアセスメントを解説していきます。
アセスメントの書き方
まずは情報収集
アセスメントは患者本人や家族、カルテから情報を収集して、看護の視点で分析していくことです。
そのためには、事前に情報収集をする必要があります。
良い野菜を育てるためには良い土が必要になりますよね。それと同じように良いアセスメントを行うためには、良い情報が必要になります。
良い情報とは何か? 例えば下のような情報があったとします。
A:「薄い味付けはあまり好きではありません」
B:「濃い味付けが好きなので普段から何にでも塩や醤油をかけて食べます」
この2つの情報を客観的に分析してみてください。
両方とも、『濃い味付けが好き』というのは伝わりますよね。
ただ、これでは分析になりませんし、アセスメントに使うには情報としては弱いです。
良い情報とは「なにが」「どのくらい」という具体的な情報が必要になります。
なによりも数値化できるのが最も重要です。
なぜかと言うと、看護師は一人でひとりの患者を見続けるわけではなく、チームで見ます。看護記録を見たときに自分以外の人間が読んでもわかる内容でなければいけません。
「かなり痛そう」ではなく「NRS7/10の疼痛」であれば、他のだれが見てもどのくらい痛いか想像がつきます。このように客観的で具体的な情報が『良い情報』なのです。
情報は、主観的情報(S情報)と客観的情報(O情報)に分けて時系列に収集します。
情報収集の仕方は、こちらの記事「情報収集をする優先順位やポイント、カルテの見かた」に記載しているます、参考にしてみてください。
アセスメントを進める簡単ステップ
アセスメントは以下のような3つのステップを踏んで行います。
①原因☞分析するために必要な情報をピックアップし整理、それらの原因・誘因は何か?
②予測☞その状態が継続した場合はどのようなことが予測されるか?
③看護☞①と➁を踏まえて今後どのような看護介入をしていく必要があるか?
よくある看護学生さんの看護過程の例で、情報はピックアップしてあるのに、アセスメントにその情報を使っていない。または、情報に書いてないのにアセスメントに使っている。
という状態に陥っているのを見かけます。
これでは根拠にならないのでアセスメントではなくただの予想や思い込みになっていまいます。
例えばこのような場合
O情報
熱が38℃あった
アセスメント
風邪と思われる、今後肺炎になることが予測される
これはただの予想や思い込みです。
熱は色々な原因が考えられるので、感染症とアセスメントするにはもっと情報を集める必要あります。
O情報
90歳代男性(略)
38℃の発熱、数日前から持続する咳嗽、血液検査でWBC・CRPが上昇、レントゲンで透過性低下
アセスメント
発熱や咳嗽が続いており肺炎が考えられる。高齢者のためこのまま悪化すると生命の危機に陥る可能性があるため、バイタルサイン測定行い異常の早期発見と患者状態を観察し症状悪化に注意していく必要ある。
このように情報から導き出されることを書いていくのがアセスメントです。
なので、情報を書くならアセスメントに使う。アセスメントに使わないなら情報として挙げない。アセスメントを書きながら、整合性があるかどうかをチェックしてみましょう。
アセスメント記入方法
「情報より、〇〇という状態であると考えられる。
このままの状態が続くと□□というリスクがあるため、今後は■■をしていく必要がある」
アセスメントの書き方としてはこのような書き方が基本となります。
最後の「□□というリスクがあるため■■をしていく必要がある」を書くかどうかは、看護師によって好みがあります。
目的はいまの現状を正しく分析し、必要なケアを明確化することなのでここは学校の教員の教員の好みに合わせて書くのが一番いいと思います。
ダメなアセスメントの例
個別性のないアセスメント
正常か異常かの判断の基準は、患者によって異なります。
そのため『体温37.5度なので発熱していると考えられます』というのは、個別性がないアセスメントということになります。
体温は普段から低めの人もいたり高めの人もいたりと、傾向があります。
そのため、単にその時の値と基準値を比較して判断するのではなく、日内変動や、入院中の他の日の値、入院前の値を総合して判断する必要があります。
また、症状も個人差ががありますし、痛みの具合も様々です。受け持ち患者の個別性を重視して情報収集をするよう心がけてみてください。
具体性のないアセスメント
上で挙げた例のように、アセスメントには具体性が大切になってきます。具体性とは例えば痛みであれば『どこがどのくらい痛いのか、動くと痛いのかじっとしてても痛いのか、我慢できるのかできないのか』など、具体的にどう痛いのかを表現する必要があります。
ぼんやりした情報収集だけでアセスメントをしてしまうと、指導者看護師や担当教員から「具体性がない」と言われてしまうアセスメントになっています。
個別性があり具体的なアセスメント

このチェックリストで確認しながら、アセスメントを書いていくとこのようになります。

チェックリストの番号順に、必要な内容が盛り込まれているかを確認しましょう。
赤の■部分はチェックリスト①+➁
具体的に看護実習で実際に患者を観察したことをベースに書いていきます。
続いて青の■部分はチェックリストの➂
ここは病態生理が含まれることも多いので、「臨床医学」とか「成人看護学」といった授業の教科書・資料・参考書を使いながら書いていきます。ここで根拠付けをすることで説得力が増します。
最後の緑の■部分はチェックリストの④+⑤
今後の方針について。最終的な目標とそれに向けた支援の方向性を書きます。
赤と青でしっかり分析したことをふまえて、今後の明確な方向性を提示していくということです。
なんとなくイメージできましたか??
まとめ
今回紹介した書き方は基本中の基本です。この記事を参考にベースを作り、自分なりに加えていくことでさらにいいアセスメントになると思います。
アセスメントを行うえで大事なのは、とにかくアセスメントの材料になる良質な情報を集めること。
良いアセスメントが出来れば、目標や援助の方向性がしっかりと固まるので実習後半が一気に楽になります。日々のSOAPもそれに沿った内容を書くだけなので楽だと思います。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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