看護実習が上手くいくかいかないかは全て情報収集にかかっています。それくらい情報収集は大切です。アセスメントを展開するには、すごくたくさんの情報が必要になりますよね。
カルテの中には入院目的、退院への目標、現状の問題点、どんな治療を行っているか、日常のケアやリハビリなど受け持つ患者の様々な情報が詰め込まれています。
限られた時間の中で全ての情報を拾い集めるのは中々困難ですが、まずどんな情報から集めるのが正解なのか、情報の取捨選択を行わなければいけません。
実際の看護師の業務の中でも業務開始までの限られた時間で受け持ちの必要な情報を集めないといけませんので、学生時代から上手な情報収集の方法を身に着けておきたいところです。
この記事では、看護師が実際に仕事をする上で収集している情報を中心に学生が実習を行う上でおさておきたい情報収集のやり方を紹介していきます。
集める情報の優先順位

まず最初に限られた実習期間で効率よく情報を集めるための優先順位について解説します。
実習を行う上で最低限必要になる情報は
入院時の状況(主訴、入院の目的)
現在の状態(症状・疾患・検査データなど)
現在の治療内容(点滴、内服、手術や検査)
1日の生活の予定(流れ)
これらの状況は最優先で集めましょう。
一つずつ細かく紹介していきます。
入院時の状況(主訴、入院の目的)
まず、なによりも大事なのは「なぜ入院しているのか」という入院の目的です。
緊急入院であれば、入院に至った当時の経緯や症状、入院から今に至るまでの治療内容などは集めておきたい情報です。
予定入院であれば、いつごろからどのような症状があって、どのような治療目的で入院したのか。点滴による加療目的、手術による治療目的など。
入院から退院までの流れを掴むために、入院の目的は必ず明確にしておく必要があります。
ここが明確でないと、日ごろのケアや患者目標がぼやけてしまいます。
そうなると、実習中になにをすればいいのか見失ってしまうことになりかねません。
患者の入院目的や目標に沿った看護計画を立案し、援助していくことが実習攻略の道です。
現在の状態(症状・疾患・検査データなど)
入院の目的がわかったら、今度は患者の現在の状態をとりあえず理解しましょう。それがどうしてそうなったのかは、過去の記録を見ないとだめだと思いますが、何はともあれ現状を理解することが大切です。
患者がどんな疾患でどのような治療を行い、現状はどうなのか。手術目的であれば手術後何日目なのか、緊急入院なら入院何日目なのか。これまでの治療内容はどういったことをしてきたのか。
検査データを経時的に見て、データは良くなっているのか、悪くなっているのか。
悪くなっているとしたら、そこに対しての治療は行われているのか。
看護記録や医師の診察記録を見て、患者の変化の様子なども情報収集しておきたいところです。
疾患による症状や治療方法、検査データの正常と異常などがわかると実習攻略が楽になります。
現在の治療内容(点滴、内服、手術や検査)
次は治療中の内容について情報を集めましょう。
入院後にどのような点滴が投与されているのか、また処方されている内服薬の内容や目的は把握しておきたいです。使っている薬や治療器具などは、すぐに調べなければならないものなので、これらの情報はしっかりと集めておく必要があります。
例えば、術後であれば鎮痛剤や抗生剤。電解質補正のための点滴が投与されます。また、くも膜下出血や脳出血の患者であれば、脳浮腫の予防薬や抗けいれん薬、止血剤、降圧剤などが投与されます。
高齢者の多い慢性期の病棟などでは、食事が思うように取れない患者が多く、点滴で栄養を補っていたり、胃ろうや胃管などから経管栄養を投与している光景を目にすると思います。
ほかに治療だけでなく、レントゲンやCTなど、入院中には様々な検査を行います。
治療に不必要な検査は一つもありませんので、それら検査の目的なども把握しておきたいところですね。
1日の生活の予定(流れ)
1日の生活の予定がわからないと行動調整もできないですし、翌日以降の予定も立てられないですよね。
急性期であれば、ケアの合間に検査に行ったりするのでバタバタします。気づいたら知らないうちに受け持ち患者が検査に行っていて、いなくなってるなんてこともあります。
実習生に優しい病棟であれば、学生に声をかけくれて一緒に連れて行ってくれますが、そうでないと置いてけぼりになります。
慢性期や回復期だと、一日リハビリをやっているのでケアをするタイミングを失いがちです。リハビリ室へ移動してリハビリを行う患者も多いため、患者の一日を把握していないとこちらも置いてけぼりになります。
しかも、リハビリは看護師も把握してなかったりするので、声をかけてもらえる可能性は低いです。なので自分自身で患者の一日の流れを把握して、看護師やリハビリスタッフの邪魔にならないよう合間を見計らってケアや患者とのコミュニケーションを行いましょう。
また、ここ数日で大きく変わったことやイベントなどの情報も必要になります。
夜間帯に熱が出た、状態が悪くなって追加の検査や薬が処方になった、せん妄になって夜中に暴れたなど経時的に患者の状態を把握しておきたいところです。
効率の良い情報の集め方

情報の優先順位がわかったら今度は効率のいい情報の集め方です。
限られた時間の中でいかに実習攻略に必要な情報をひとつでも多く集められるか。
ここで効率よく情報が集まれば、実習の攻略はもう目の前です。
医師の診察記録から情報収集
一番のオススメ方法は、まず医師の診察記録を読むことです。
基本的に担当医制であれば、同じ医師が最初から診てますので入院からの経緯や治療の方針なども書かれていて、わかりやすいです。
どのような症状や目的で入院して、どのような治療をして、どうなったのか、今後どうするべきか、これらの情報が網羅されています。医師の記事を読めば、現状の問題点とそこにフォーカスを当てた治療方針なども書いてますので、学生としては実習の流れをイメージしやすくなると思います。
ただし、注意点があります。
短期入院の場合は、入院から現在までの期間が短いため、入院時から順番に読んでいくのがわかりやすいと思いますが、長期入院の場合には、現在から読んでいかないと間に合いません。
また長期の場合は入院中に状態がコロコロ変わるため、患者の目標がハッキリしない場合が多いです。
バイタルや検査値は異常値を重点的に
次に、バイタルサインや検査値です。例えば、バイタルサインの場合、朝昼夕の3件している場合、5日間の短期入院であっても、15個分の記録が出てきてしまいます。
これを全部書くのはあまりに効率が悪いです。しかも、異常がないなら書く必要すらありません。
最後にいつ何度の発熱していたのか、いつ解熱したのか、そして今はどうなのか(何度から何度で経過しているか)、というようなポイントが抑えられていればよいと思います。
食事量も、だいたい何割くらい食べれていて、いつから上がっているか(下がっているか)などをわかるように情報が取れればよいと思います。
患者や家族から情報収集する
実習の中では患者と「コミュニケーション」といって話をする機会がたくさんあると思います。
患者のところにたくさん行くことは推奨されていることですが、無目的で行くと「雑談」で終わってしまいます。
患者との距離をつめるためにも雑談が必ずしも悪いことではありませんが、「今回はこういう情報を聞こう」という気持ちをもって、またはメモ帳に聞きたいことをまとめておいてコミュニケーションを取りながら会話の中で自然に情報を引き出せれば実習の攻略につながります。
アセスメントを進めてみる
情報を集めてからアセスメントを展開したいと思うかもしれませんが、アセスメントを進めていくうえで足りない情報に気付くということも少なくありません。
なので、余裕があるときに少しアセスメントを進めてみて、足りない情報をピックアップするということが必要になると思います。特に関連図を書く必要がある場合などは情報がないと進められませんので、少しでも多くの情報を集めていきたいところです。
☟こちらの記事で記録の書き方について書いています、良かったらあわせて読んでみてください。
【看護学生向け】看護師が教える再実習にならないための実習記録の書き方
まとめ
- 医師の診察記事から情報を集める
- バイタルや食事などは変化があった部分を集中的に見る
- 直接患者や家族から情報を集める
- 手元の情報でアセスメントをしてみる
いかがでしたか?
学生が実習の中で情報収集に使える時間は限られています。また使用できるパソコンにも限りがありますし、他の実習生との奪い合いともなると中々ゆっくりと情報収集している時間などありませんよね。
いかに少ない時間の中で必要最低限の情報を一つでも多く集められるか。実習を攻略できるかどうかはここにかかっています。患者に必要なケアを行わなければ、評価は高くなりません。
なので、ただ漠然とカルテを1から読むのではなく、必要になりそうな情報をリストアップした表を作り一つずつ埋めていくという方法が効率的だと思います。
情報収集はアセスメントだけでなく、日々の予定を立てる上でも大切です。
また、情報がそろっているだけで実習自体が一気にイージーモードになります。なぜなら、患者の状態を把握することで、患者目標とそれに沿ったケアが明確になるからです。
そうなると、日々の実習行動計画も立てやすいし、観察項目やアセスメントも容易になるでしょう。
優先順位を考えて効率よく情報を集め、確実に実習を攻略していきましょう。
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