と、いうよりほとんど全ての看護師が新人時代に一度は「辞めたい」「自分には向いてないんじゃないか」と考えたことがあるのではないでしょうか。僕の周りにも常にそういう声は聞こえてきます。
毎年、部署に配属される新人さんも決まって同じ時期になると「辛い」「辞めたい」と悩みを打ち明けてきます。そのたびに「あぁ、またこの時期がきたか~」と思ってしまいます。
Twitterで『新人 看護師 辞めたい』といったキーワードで検索をかけると全国でたくさんの新人看護師が辛い心境を毎日呟いています。
実は僕自身も新人のときには毎日のように「辞めたいな~」と感じていましたし、朝仕事いくのが辛かった経験があります。
新人看護師の離職率は7.8%

2020年に日本看護協会が公開しているデータによると、 新人看護師の離職率は7.8%でした。
毎年約5万人の方が資格を取得して看護師になるため、約12人に1人が新人のときに辞めているという計算になります。
離職率の高さからも、看護師の仕事がハードであり、転職を考える人が珍しくないということですね。

仕事はハードだし、先輩は怖いし、勉強もしないといけないし…
新人看護師が辞めたいと思う理由
やっと国家試験を合格して看護師になれたものの、様々な理由があって辞めてしまう新人看護師はいます。
新人看護師が辞めてしまう主な理由を見ていきましょう。
1.思ったような看護ができない
看護師を目指すとき「こんな看護がしたい!」と夢を抱いて、勉強や実技を頑張ってきた人は多いでしょう。
しかし、看護方針は一人で決められるものではなく、病院や先輩看護師に従わざる得ないこともあります。
また、「忙しくて患者一人ひとりに対して丁寧に向き合えない」など、思ったような看護ができないのは、「病院との方針が合わない」「スタッフ間でのコミュニケーションが上手くいっていない」など外的な要因も多いです。
自分自身では改善が難しい状況であるため、辞めたくなるのは仕方のないことと言えるでしょう。
2.業務が予想以上にハードで辛い
業務が予想以上にハードすぎて辞める看護師も多いです。
看護師が簡単な仕事でないことは、誰もが理解しているでしょう。
しかし、わかっていても、体や心が追いつかないこともあります。
護師の業務がハードだと感じる例
- 重症度が高い患者が多い
- すでにキャパオーバーなのに患者の受け入れがある
- 緊急の患者の受け入れ要請が多
- 夜勤の頻度が高い
一時的に辛いならまだしも、職場自体が常にハードな場合は心身ともに疲弊してしまいます。
「この先これがずっと続くのか…」と考えると、辞めたくなってしまうのです。
3.人手不足のための過重な労働
病院は人手不足が深刻な問題となっています。
そのため、 常に人手が足りず、仕事量が多くなってしまうことで辞めてしまう人もいます。
人手不足だと、休みたくても休みが取れないということも多いでしょう。
過重な労働に、休みも取れない…」となると、心身共に弱ってしまいます。
人手不足は、病院によってはなかなか解消されません。
人手不足にも関わらず、自分の病院が求人を出していなければ、さらに絶望的な気分になるのも当然のことです。
4.教育不足で仕事についていけない
人手不足の病院では、新人に対して業務を教える時間が確保できない場合もあります。
他にも、プリセプターや病院の方針によっては、「教えなくてもできるようになれ」という姿勢のところもあります。
教育不足のため、仕事についていけず辞めたくなるのです。
教えてもらっていないのに「そんなこともわからないの?」と言われたり、自分で考えて行動すると「勝手なことをしないで」と怒られたりすることに、戸惑う看護師も多いです。
この、先輩との人間関係に耐えられなくて辞めていく看護師が一番多い気がします。
辞めないまでも、精神的に疲弊してしまい長期休養や部署異動なんてことも多いですね。
後ほど紹介する、いじめや嫌がらせに発展するケースもあるようです。
こうなってくると、働くどころの話ではなくなってしまいます。
教育不足が続く場合、 新人に対してきちんと教育環境を整えている病院を探したほうが良いです。
教育してくれない病院にいても、看護師としてのスキルアップが遅くなるだけだからです。新人看護師の育成に力をいれている病院は、たくさんあります。
教育環境が整っている病院を効率よく探したいのであれば、以下の転職サイトに相談してみるのがおすすめです。
5.医療事故が不安になった
看護師は、人の命に関わる仕事です。
仕事の重責から、 医療事故を起こすことに対して不安になり、辞めたくなる人もいます。
看護師は、患者の死と隣合わせの世界で、プレッシャーと戦っています。
人の命を預かる重責から、医療事故が不安になって辞めたくなる人もいます。
それだけではありません。経験上、医療事故が怖いというよりインシデントを起こしてしまったことで先輩看護師から攻められることが怖いというのもあります。
本来、インシデントは原因を話し合って再発防止に努めることが目的ですが、新人のうちは何でもかんでもインシデントレポートを書きなさいと詰め寄られます。そして、怒られます。
結果、また病棟に行くのが嫌になってしまうという負のスパイラルに陥るのです。
6.いじめや嫌がらせにあった
いじめや嫌がらせも、辞めたい気持ちへと繋がります。
上記でも書きましたが、先輩との人間関係が辞めたくなる理由のナンバー1でしょう。
それが仕事がうまくできないことや、残業にも繋がりますし、教育体制不足にも繋がります。
おそらく、新人看護師が悩んでいる9割の原因は人間関係だと思っています。
仕事上の人間関係で悩むのは看護業界に限ったことではありませんが、他の業界で仕事してした自分から見ても、看護師の上下関係は異様に映るときがあります。
新人看護師が受けやすい「いじめ」
- 無視される
- 仕事を教えてもらえない
- 一人だけミスを叱責させる
- 悪口を言われる
どのようないじめでも、辛い気持ちになることには変わりありません。
辛い状況下で、「仕事を頑張ろう」という気持ちよりも「辞めたい」という気持ちが勝ってしまうのは無理のないことでしょう。
今、病院や施設で「いじめ」や嫌がらせにあっている人は、今すぐに何らかの対処を取るようにしましょう。
なぜなら、理不尽ないじめや嫌がらせに耐え続けていると、いつかあなた自身の心と身体に限界が来てしまうからです。
いじめや嫌がらせの有効な対処方のひとつとして、配置や部署の変更を申し出ることが挙げられます。
病院の規模や人員の問題で、配置や部署の変更が難しいという場合は、思いきって転職することも視野に入れましょう。
7.残業代や手当がつかない
看護師には、サービス残業を強いられることを理由に「辞めたい」と考える方もいます。
看護師には、「給料が良いから」という割り切った理由で仕事を続けている人もいます。
休む暇もないのに残業代が出ない環境では、「辞めたい」と思うのは当然のことでしょう。
残業代や手当は労働の対価であり、労働基準法で認められた当然の権利です。
対価が払われないまま労働を続けるということは、あなたの貴重な時間を無駄にしているということでもあります。
上司に対価の支払いを訴える方法もありますが、新人の意見は聞いてもらえないことも多いです。
残業代の未払いは「労働基準監督署」に相談することで、解決することもあります。
職場を管轄する労働基準監督署を確認し、実際に足を運んでみましょう。
管轄の労働基準監督署は、「全国労働基準監督署の所在案内」から確認できます。
まとめ
今後、人間関係に悩みながら、精神を病みながら、身も心もボロボロになりながらも看護師という仕事を続けるべきなのか、辞めるべきなのか…
次のページからは悩んでしまったらどうするべきかを考えていきたいと思います。
僕の経験から言うと、これはキャリアが進むと解決できることが多いです。
新人のうちはルーティンワークをこなすだけで一日が終わってしまいがちですが、仕事に慣れてくると空いた時間ができるので自然と患者さんと向き合う時間が取れてきます。