こんにちわ、パパナースのYugo(@yugo_10)です。
中心静脈カテーテル(CVカテーテル)とは、中心静脈とよばれる心臓近くの太い静脈へカテーテルを留置し、そこから高カロリーな輸液を投与する方法です。
生命維持や成長に必要なエネルギー、各栄養素を経静脈的に必要十分量投与する事が可能であり、栄養状態の維持・改善を目的として行われます。
看護師として臨床で働いていると、難渋するのがルート管理。
集中治療室で働いていると投与薬剤が増えて管理するのも一苦労です。
皆さんも仕事でCVカテーテルの管理をすることがあると思いますが、このような疑問を抱くことはありませんか?

CVカテーテルのルートって、薬剤投与経路の違いはあるの?

確かにダブルやトリプルのCVカテーテルだと投与経路が複数あるね。
僕も新人時代は全部同じだと思ってたよ。
今回はCVカテーテルを管理する上でのポイントを一緒に学びましょう。
【結論】投与経路の違い

投与経路によって役割に違いがある
CVカテーテルには、シングル・ダブル・トリプル・クワットルーメンがあり、投与経路が複数存在します。

一番良く使われるのはダブルかトリプルルーメン。
トリプル以上になると、1本はCVPをモニタリングするのに使われるよ。
投与経路にはそれぞれ役割に違いがあり、その特性を理解しながら投与経路を選択する必要があります。
それぞれの投与経路の特性は下記のようになります。
✅DISTAL(遠位)
挿入部位から一番遠く、心臓に一番近い穴。体外に出ているルートの長さは一番短いもの。
※出口の穴が一番大きく、メインの補液やIVHを投与する。
✅MEDIAL(中間)
真ん中にある穴
✅PROXIMAL(近位)
挿入部位から一番近く、心臓に一番遠い穴。体外に出ているルートの長さは一番長い。
※一番早く、血中に流れ出るため、一番効いて欲しい治療的薬剤を投与(昇圧剤など)。
各会社によってルート接続部の色は違いがあります。多くの場合は下記の◯のところに名称(DISTAL/PLOXIMAL/MEDIAL等)が記載されているので確認してみるとどのルートかがわかると思います。

CVカテーテルの目的
CVカテーテルを挿入する目的には様々な場合があると思いますが、主な目的としては下記のような目的があります。
<CVカテーテル挿入の目的>
・高カロリー輸液を投与
・様々な薬剤を確実に投与
・中心静脈圧(CVP)を測定
・末梢ルート留置が困難な患者
末梢からだと静脈炎の危険性があるが、中心静脈は心臓に近く流れが速くて太い血管なので、薬剤が長くとどまらず静脈炎の危険がない。
特にクリティカルケア領域の重症な患者さんでは使用する薬剤が多く、そして循環作動薬などの確実に投与しなければいけない薬剤を使用する頻度が高いです。
そのためCVカテーテルを挿入する際の目的としては、「様々な薬剤を確実に投与」に該当してCVカテーテルを挿入する事が多いです。
CVカテーテルを管理する上で看護師の頭を悩ませるのが「薬剤配合変化」です。
薬剤配合変化については、後述のCVカテーテルのポイントで説明していきます。その前に、CVカテーテルの挿入部位について少しおさらいしましょう。
CVカテーテル挿入部位
CVカテーテル挿入部位は主に下記が選択されることが多いと思います。
というか、この部位以外から挿入することはまずないです。

<CVカテーテル挿入部位>
・内頸静脈
・鎖骨下静脈
・大腿静脈
もちろん挿入部位によってメリット・デメリットがあります。
✅内頚静脈
穿刺が容易、カテーテル挿入距離が短く確実。
頸部に穿刺するため固定が困難・外見が目立つ・意識のある患者には恐怖感がある。
✅右鎖骨下静脈
カテーテル固定が容易、衣服に隠れ目立ちにくい。
気胸を合併するリスクがある。
※動脈誤穿刺による出血に注意が必要
✅大腿静脈
穿刺に伴う合併症が最も少ない。
カテーテルの固定が困難、会陰部付近で汚染されやすい。
※長期留置による静脈血栓を起こすリスクがある
皆さんの施設では、CVカテーテルを挿入する部位として多いのはどの部位ですか?
僕の施設では、第一選択は内頸静脈で右内頸から挿入することが多いです。
場合によっては大腿静脈を選択されている場合もありますが、看護師としては内頸静脈が管理しと思いなと思います。
CVカテーテルポイント
今回の記事では、CVカテーテルのポイントを下の2点に絞ってお伝えしています。
・投与経路の違い
・薬剤配合変化
CVカテーテルのポイントとしては、挿入時の留意点や合併症等もありますが、今回はこの2点について皆さんにお伝えできればと思います。
投与経路の違い
✅DISTAL:内径が太く急速投与向き(主にメイン輸液に使用)
✅PLOXIMAL:内径が細く流量が安定(主に持続投与に使用)
✅MEDIAL:最も早く血管内に薬剤が届く(主に循環作動薬に使用)
このことを考慮すると、血圧が低い場合などに使用するノルアドレナリン等の昇圧剤は血中に薬液が最初に届くPLOXIMALが良いかと思います。
僕の病院では昇圧剤はPLOXIMALから投与するというルールになっています。
ですが、PLOXIMALは心臓から1番遠い場所に穴が空いているので、誤抜去等で挿入されている長さが浅くなった際に薬液が中断する可能性があることには注意が必要です。
薬剤配合変化
薬剤は単独で投与される際に安定するように製剤が作られているので、2種類以上の薬剤を一緒に投与しようとすると、着色・混濁・沈殿・結晶析出といった外観の変化が生じてしまいます。
これを「薬剤配合変化」と呼びます。
配合変化を起こすことで、本来得られるはずの薬剤の効果が得られなくなります。
このため、看護師として薬剤投与をする際はこの薬剤配合変化に気を付けて患者さんに薬剤投与をする必要があります。
薬剤配合変化する原因としては、下記のような原因があります。
<薬剤配合変化の要因>
・PHの移動による配合変化
・難溶性塩の生成
・難水溶性による配合変化
・コロイド製剤による配合変化
集中治療室等では、メイン輸液の側管から鎮静剤や鎮痛剤、抗菌薬等の薬剤を当時投与することがあるため薬剤配合変化には気をつけて投与を行なっています。
特に使用頻度が高くて配合変化に要注意な薬剤として、独断と偏見でランキングを作成しました。
<配合変化を起こしやすい薬剤Best3>
・第1位:フロセミド(ラシックス)
・第2位:ニカルジピン(ペルジピン)
・第3位:ハンプ
この薬剤達は集中治療室等では非常に厄介な薬剤の印象があります。
様々な薬剤との相性が悪く配合変化を起こしてしまうので、投与経路にはいつも頭を悩まされます。
場合によってはCVカテーテルのルートが閉塞してしまうこともあるので、投与前には薬剤配合変化も考慮して投与経路を考える必要があります。
おまけ
CVカテーテルの挿入は医師しか行えませんが、抜去するのは特定行為研修を受けた看護師であれば医師の指示のもとで抜去することが可能です。
興味がある方は以下のサイトをご覧ください。
看護師の特定行為研修制度ポータルサイト
まとめ
今回はCVカテーテルについて「投与経路の違い」や「薬剤配合変化」についてまとめてみました。
一般病棟でもCVカテーテルは使用しますが、クリティカルケア領域ではCVカテーテル挿入患者を看る機会が比較的多いと思います。
その中で、多くの薬剤投与をする機会もあり、「投与経路の違い」や「薬剤配合変化」を理解しておくことは大切だと思います。
今回の記事が少しでも臨床での看護に役立てていただければ幸いです。