もくじ
みんな気付いていない、看護師あるある風習

元サラリーマンから脱サラして看護師になりましたが、今思えばこの業界っておかしなことが結構あるもんです。ずっと看護師をしている同僚に聞くとそれが当たり前だと思っていて、不思議には思わないらしいですが…。
ただ、施設によってもそこの独自ルールとかもあると思いますので、あくまで自分が働く病院内での個人的な感想ということでやっていきたいと思います。
そんなわけで、「ここがへんだよ。看護師業界編」スタート!
脈々と受け継がれる看護師のイメージ

自分は世のため人のためにっていうホスピタリティの気持ちはそこまでないんですよね。じゃあ、なんでわざわざ国家資格取ってまで看護師やってんの?って思われちゃいますが、まあ資格があれば食いっぱぐれることがないからって理由は大きいです。まぁ、この業界で10年やってれば、ホスピタリティの精神が全くないってことはないですが…。それでも仕事だからやってるって気持ちは強いです。
それでも世の中の看護師やってる人達はそれぞれに様々な信念があって看護師になっているんだと思います。それは素晴らしいと思います。しかし、表向きのイメージとは打って変わって仕事内容はハードな看護師の世界。患者さんが退院する時や「ありがとう」と感謝された時にはやりがいも感じるのかもしれませんが…。
ICUではそれがない。ほとんどの患者さんは、状態的に一番最悪な状態からちょっと良くなったという所で一般病棟へ転棟していきます。なので、退院できて良かった良かったなんて状態ではないんですね。なので転棟するときに「お大事にしてください♪」なんて言いながら心の中では「悪化して戻ってこないでね~」って気持ちです。
世の中の看護師のイメージ
・看護師だからこれをしなければならない
・看護師だからこういう働き方でなければならない
・看護師だから患者にはこう対応しなければならない
看護師かくあるべしが業界の共通認識であり、業界内にとどまらず患者からもそれを求められる。これは看護師の倫理綱領ってやつで学生時代からすり込まれるんですね。
だから、若い子なんかは元々持っていた看護師のイメージと実際の仕事現場でのギャップにやられて高確率で病みます。
働き方改革? 何それ?美味しいの?? 状態な看護師業界

働き方の変化が叫ばれている昨今において、業種問わず対象の政府の方針が発表されています。
長時間労働や権利、ライフワークバランスなど看護師業界も当然対象なわけでありますが、果たして業界としてそこを改革できる職場がどれだけあるのだろうか?
特に始末が悪いと個人的に思っているのは、委員会や勉強会についての取り扱いです。
労働基準法には、「全員参加」や「義務」の類いのものであったら就業時間“内”に含まれます。うちの病院もつい最近まで残業すら付けられませんでしたが、ようやく最近になって残業扱いとなりました。ほかの施設はどうなんでしょうか? どこも曖昧になっているのが実態じゃないでしょうか。
↓看護協会的には下記のとおり↓
職員に対する研修・教育時間は以下3点の場合に労働時間と見なされます。勤務時間外に行われた場合には時間外勤務として賃金の支払いが必要です。
1.研修教育の内容が業務そのものか、業務と密接に関連するもの
日本看護協会のホームページ
2.参加が強制されているか、名目上「自由参加」とされていても欠席すると何らかの不利益措置がある
3.職員自身の労働安全衛生に関する教育
看護職員の院内研修を一律に「自己研鑽」と位置付け時間外勤務手当を不支給とすることは、違法となる疑いがあります。ただ、日進月歩の医療業界ですので病院としての質の均一化や病院の方針の認識周知、学習機会の促進はあってしかるべきです。病院の質を形成するという意味では、当然あるべきだと思います。思ってますが、業務なんだから金払えと思うわけであります。
仕事内で会議をするのは当然です。完全に仕事なんです。
謎の委員会制度と情報収集という暗黙の了解の時間外労働

これが一番の看護師あるあるだと思います。
おそらくどこの施設も同じだと思いますが、キャリアを重ねると強制的に委員会に入らされます。教育に関することであったり、記録や感染に関することであったり内容は様々です。これ、結構クセ者なんですよね。ただでさえカルテ記載や家族対応なんかで看護以外のことに時間を取られるのに、拍車をかけて仕事が増えるってどういうことなんでしょうかね。それで本業が残業になっているとか本末転倒もいいとこです。
それと、始業前の情報収集。始業とともに申し送りが始まってしまうので、みんな早く来て時間外でその日の受け持ちの情報をひたすら収集しますよね。年間通したら、この時間外労働で行っている情報収集の賃金っていくらくらいになるんでしょうか…。
当たり前のように慣習として行っているけど、普通の企業だったら有り得ないです。だからと言って、全く情報を知らずに患者さんを受け持つわけにもいかないので仕方ないんでしょうが…。
でも、業務でやらないといけないなら金払えってことです。
看護師の高離職率
自分は外様の人間ですので、この業界に入ってからは看護師の業界ルールに異議を唱え続けてきました。みんな当たり前でやってるけど、それ当たり前じゃないよって言える機会は大切だと思います。離職率が高いこの業界ですので、どうしたら働きやすい環境になるのか考えるのはとても良いことです。
ただ、この業界は新卒からずっと看護師をやっている人がほとんどなので正しいのか間違っているのかを判断することが困難になっているんだと思います。なので、自分のような人間がもっとこうしたら働きやすいのにっていう提案をしていくべきだと思うのです。
自分が働きやすいと感じていれば、他の人も働きやすいって感じるはずって勝手に思ってます(笑)
特に新人の看護師1年目のスタッフを見ていると、本当に特異な業界なんだなと感じます。
・人間関係
・患者さんの対応
・働き方
・病棟ルール
などなど…
社会人1年目というのは、ただでさえ色々なストレスがあるものです。時代が違えば考え方も違う。育ってきた環境も違う。でも、人である以上は人として扱うべきなんです。
「叱る」と「褒める」というのは同意語でも「怒る」と「叱る」は違います。情熱や愛情が無いと、叱っても相手には伝わりません。
成し遂げんとした志をただ一回の敗北によって捨ててはいけない。
これはシェイクスピアの言葉です。人を大切にして、人が辞めないよう身近に少しでも理解してくれる人がいてくれることを望むばかりです。
人が辞める理由は管理職そして経営陣にはよーく理解してもらい、よりよい職場環境になることを心から願っています。

スペシャリストとゼネラリスト
自分は元サラリーマンですが、今は時代も変わったのか多様性を意識してるなという場面に遭遇する機会が多くなってきたと思います。
人が辞めないように就業者の意識をある程度汲み取り、囲い込みをしてるのもそうですし、労働者に同一性を強要しないというのも肌で感じます。いわゆる強みを伸ばすようなマネジメントですね。
看護師業界も認定看護師制度や専門看護師制度がようやく普及し始め、専門性を持つ看護師が増えてきました。幅広い視野を持つ看護師と一つのことに特化した看護師、それぞれがうまく融合していければ看護師業界はもっと働きやすくなると信じています。
また、新人のスタッフには最低限の超えて欲しいラインはあるものの、それぞれの個性を尊重した教育プログラムというのもあっていいのかもしれません。
看護師になったはいいけどついていけないから退職して別の仕事をする。自分の知り合いでも結構いたります。せっかく頑張って資格を取ったのだから、出来る限り看護師を続けて欲しいなと感じてしまいます。

おわりに
他職からの転職で看護師となった自分ならではの視点で書かせてもらいましたが、まだまだこの業界の改革すべき点はたくさんあると思います。ただ一番の願いは看護師が健やかに働ける環境になって欲しいという気持ちです。
この先、世の中がAIにとって代わっても看護師はロボットで代替できる仕事ではありません。看護師だから出来ることがたくさんあると思います。
だからこそ、患者さんの気持もスタッフの気持ちも理解してあげられるのは看護師だけだと思います。人を癒すのは人にしかできません。
コロナ禍で世界が大変な今だからこそ、看護師を志した時の気持ちを忘れず、すべての看護師に頑張って欲しいとエールを送りたいと思います。変えようと思っても変わらない現実があるのも事実でしょう。それでも、健やかに働けなくなったら、色々な職場や働き方を模索してほしいし、身近な人に相談してほしい。あなたが思っている自分の世界が全てではないのですから。
みんなでこの世界の窮地を乗り越えましょう。